2006年 09月 19日
彼岸花の咲く、畦道の向こうから死者たちがやってくる。 其の花の赤は血の色だ。 「彼岸花の咲く土壌には亡骸が埋まっている。」 幼い頃、母親からそう教えられた。 血の赤を吸い上げ、突如として妖しく咲き乱れる其の花に、少年は欲情を憶えた。 今思えば、彼岸花の鱗茎に含まれる有毒物質から我が子を遠ざけようとする、親なりの方便なのだろうが。 その話を聞いてからというもの、僕の其の花に対する得も言われぬ感情は更に強固なものとなった。 雀色時、畦道に、死人花を凝視する少年が一人。
by ariphoto
| 2006-09-19 23:46
| daily
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